この本をお手に取ってくださった皆さまへ その2

古谷 千佳子

私が恋焦がれて移住した沖縄で撮り続けた、海人や海辺のモノクロ写真。それらをデジタル化し、「うみべのタイムマシーン」という写真企画展として発表することができました。
そして今、報告書の作成に追われながら、この半年間の濃密な時間を振り返っています。

「読谷村の“ノーベル賞を夢見る村民基金”を活用してみたら?」というアドバイスを受け、慣れない中で企画書を作り、二次審査のプレゼンでは「大変だよ」と言われ……覚悟を決めたものの、その時には想像できなかった“やるべきこと”が山のようにありました。眠る間も惜しんで駆け抜けた日々でした。
写真と向き合う時間よりもむしろ、海に関わる方々以外にも、教育関係者、自治会や商工会、そして協賛してくださった企業の皆さまといった、さまざまな分野の方々と出会う貴重な機会となりました。皆さまのご理解とご協力のおかげで、無事にこの事業を終えられそうです(年度末は明日!あと少しで完了です。笑)。
この村を構成するのは、海や自然、そして人。

人の生き方や価値観は本当に多様であることを、身をもって感じた時間でもありました。貴重な機会と時間をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

写真展は、私にとって本業であり、最も大切にしたい部分でした。しかし今回ばかりは、なかなか真剣に写真そのものと向き合う時間が取れませんでした。(とはいえ、展示した写真を撮った当時は、どれも真剣勝負。誠心誠意、被写体と環境に向き合い、撮影したものです。そこに嘘はありません。)
けれど、「良い写真を並べれば、良い写真展になる」というわけではないのだと、痛感しました。構成や動線、キャプションの言葉、お客さま目線での見やすさ・わかりやすさなど、もっと考える時間が必要でした。
その反省をもとに、展示した内容や私の思いを、よりわかりやすく伝えるために、冊子を作成しました。

この冊子は、村の助成金事業には計上できなかったため、自費での制作です。

この思いを届けたい。そう考え、関係する読谷村の教育・文化関連の施設や小中学校などには、寄贈させていただく予定です。地元の子どもたちに、海の仕事や暮らしに息づく大切なものを知ってもらいたいと願っています。そして、もっと多くの方にこの思いを知っていただきたく思っています。

どうか、この冊子を活用し、思いの輪を広げていくことにご協力いただけましたら幸いです。
ちなみに、私が1996年から撮影してきたモノクロフィルムの写真は、今回の展示以外にも7万点を超えます。
冊子40ページに記した「〜古谷千佳子マラのメッセージ〜 ビネガーシンドロームとの戦い」にもあるように、経年劣化により、すでに失われてしまったフィルムもあるため、正確な数はわかりません。
特に初期(1996年〜2003年頃)のフィルムから劣化が進んでおり、沖縄本島東海岸(宜野座村、浜比嘉島、旧石川市など)は確実にダメージを受け始めています。次に、本部町、そして撮影順に他の地域へと劣化は進行しています。(2007年頃の宮古島のものも、劣化が見られます)

50年後、私はもうこの世にはおりません。
けれど、この時代の沖縄の海辺の記録を、未来の人々に残していきたい。
そのために、まず「知っていただく機会」をつくること、実働できる環境を整えることが必要です。
どうか、こうした思いにご理解・ご協力を賜れますよう、お願い申し上げます。

どんなに小さなことでもかまいません。
「何かできるかも?」と思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ直接ご連絡ください。
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